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Preliminary Results
David Robinson,Sharon Allaway
(United Kingdom)
アメリカとカナダにおいて危険度予知の有用性がよく認められているにもかかわらず、いままでUK(United Kingdom)では、独自のものが行われなかった。1994年に公的法人からの要請で19万人の従業員の健康状態を評価するために、BUPAが独自の危険度予知の方法を開発しようとした。被検者の生活様式、個人歴と家族の病歴についての情報は、70項目の質問から得られた。この情報はある病気における被検者の死亡率、同じ年齢・性の人の平均危険度を計算するために使われた。この結果は“lifestyle age”と“achievable age”の形に要約されている。この計画によって扱われた個々の病気は肺癌、冠状動脈性心疾患、高血圧症、脳卒中、肺炎、気管支炎、肺気腫、肝硬変、交通事故、そして女性では乳癌と子宮頸癌である。
これらのことは、雇用者にとっても従業員にとっても有用であり、従業員をより健康的にするために生活様式を変えることを提言するための個人情報を提供することができる。雇用者にとっては、従業員の健康問題の詳細の企業報告を得ることができ、同時に健康管理や病気関連費用の還元が可能である。12の企業が約1万6,000人の従業員と提携してこの危険度予知を開始し、それらの従業員からの回答率が約50〜60%であった。
われわれの目標は、UK独自の危険度予知モデルを開発することである。そしてさらに危険度予知の結果をフォローアップし、人々の生活様式をよりよくするためにわれわれが説得することがいかに大切であるかを確かめることも計画している。
まとめ
国際健診学会に出席させていただき、カナダ・アメリカ・イギリスなどの発表を聞けたことは新鮮だった。日本の学会では私が臨床検査技師であるため、どうしても検査についての発表、たとえば「超音波検査による○○の発見率」「○○法による○○の陽性率」「測定値の互換性・精度管理」などが主で、いつも同じような発表を聞いていたような気がする。
今回の大会参加で日本との疾病出現の違い、健診に対する考え方・行われ方の違い、医療経済についての違いなど、従来漠然と感じていたことを明確に認識させられた。
最初の演題であったためか、カナダの先住民族への健康サービス・調査の取り組み方の報告が印象深かった。彼らが置かれている立場などについて、書物から得た知識でしかなかったことが、実際にカナダの人の口から聞けたことにより実感を持つことができ、同時に、医療者が研究を進めていく上での態度・姿勢の基礎となるべきことは、「被検者はデータ集積のための“物”ではなく、医療者と被検者がよりよいパートナーとして、健康について考えていく」ということであると改めて強く感じた。
危険度予知プログラムは、アメリカで健康教育システムとして開発・利用された。日本でも1992年の「第13回ジュネーブ(スイス)大会」において吉田勝美先生とLPCによって“総合健診への危険度予知手法の導入”が発表されている。このテーマは今回、セッション?と?に分かれ7題が発表された。
プログラムの作成・使用に当たっての情報収集時の問題としては、プライバシーの侵害があげられていた。たとえば、質問項目に“人種”(危険因子として人種特有の疾病がある)を入れることができるか、あるいは個人情報悪用の危険はないかなどである。プライバシーの保護と情報の管理の問題ははますます重要になると思われる。
日本では、健診といえば胃や肺のX-ray検査が最初に思い浮かぶが、アメリカ・カナダ・イギリスではX-rayを浴びる危険のほうを重視していて、日本のような胃の検診は行われていない。これは欧米と比べて日本では胃の癌発生率が高

 

 

 

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